例年より冬支度が前倒しになっている今日この頃の様子ですが、円安、物価上昇や相場のグローバル化など様々な社会変化で良質な中古車が激減している中で、暗躍しているのがネットオークションの『無整備車検取得車』です。前回ブログでも触れましたが、違うパターンでの修理依頼を受けましたので記述いたしたいと思います。
【前回のおさらい】
ネットオークションは入札者が瑕疵責任が負担となるリスクがあります。乗って動かしてみないと瑕疵が分からないのが中古車です。つまり『事前に現品確認が必要』となります。この事前下見の手間暇を省き、落札させて売り切ってしまおうという手法が『お買い得感』を前面に出した『車検取得済み車』です。複合機械物の自動車は、経年数や積算走行距離によって整備点検が必要不可欠で、車検は期限満了日までの走行性能を約束するものではなく、検査取得時点の車両状態を評価したものとなります。
【今回の持ち込まれたトラブル車】
上記の画像は、某メーカーの冷却水ホースでエンジンに這うように取り付けられていたホースです。経年劣化や積算走行劣化を考えれば、車検時に交換されていて当然と思われる部品です。外してみてビックリの硬化したホースでした。ゴムホース特有の柔軟性が失われているので破裂寸前状態と考えられます。『ヒーターが効かない』ということで見てみたところが始まりでした。結局はサーモスタッドが開きっぱなしという『オーバークール』現象が原因で事なきを得ましたが、ユーザーさんには痛手です。室内ヒーターコアまでのホース交換および冷却水系統のホース交換、不凍液とサーモスタッドの交換一式です。更に本来でしたらオイルだけ補充されている様子のエンジン・ブレーキ系統の整備も必要でしたが、お乗換え後1ヶ月のためご予算都合で近日再点検整備要すということでお引き渡し致しました。
完全に典型的な『通しただけ車検』車両の代表的な例です。さらに細かい話になりますがユーザー本人名義で車検取得してませんでしたので、仮に車検満了前に廃車処分しても本来月割還付が発生する『自動車重量税』『自賠責保険』が受領獲得できないことも発覚しました。『重量税や自賠責』など車両本体と別に発生する経費面の領収書類の有無は大きなポイントであり、後日トラブルに法的に役立つでもあることにご購入時にご注意される事をお勧めいたします。
使ってナンボの車が、今後約1年11ヶ月間の懸念や手間暇等を足し合わせると、逆に高価な買い物をしてしまったということで、ガッカリ気落ちされていたのが印象的した。
入札者に瑕疵責任が移転となる『見かけの安さ』のネットオークションには十分なご注意が不可欠です。